高齢者虐待防止のための指針
シンシアパーム株式会社
2024.4.1.制定
1 基本的な考え方
当法人では,利用者への虐待は,人権侵害であり,犯罪行為であると認識し,高齢者虐待防止法に基づき,高齢者虐待の禁止,予防及び早期発見を徹底するため,本指針を策定し,全ての職員は本指針に従い,業務にあたることとする。
2 虐待の定義
(1)身体的虐待
暴力的行為等で利用者の身体に外傷や痛みを与える又はそのおそれのある行為を加えること。また,正当な理由なく身体を拘束すること。
(2)介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)
意図的であるか,結果的であるかを問わず,行うべきサービスの提供を放棄又は放任し,利用者の生活環境や身体・精神状態を悪化させること。
(3)心理的虐待
脅しや侮辱等の言葉や威圧的な態度,無視,嫌がらせ等によって利用者に精神的,情緒的な苦痛を与えること。
(4)性的虐待
利用者にわいせつな行為をすること。又は利用者にわいせつな行為をさせること。
(5)経済的虐待
利用者の合意なしに財産や金銭を使用し,本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること。
3 虐待防止に係る検討委員会の設置
(1)当法人は,虐待の防止及び早期発見への組織的対応を図ることを目的に,「虐待防止検討委員会」を設置するとともに,虐待防止に関する措置を適切に実施するための担当者を定める。
(2)委員会の委員長は法人代表が務める。
(3)委員会の委員は、毎年選任する。
(4)委員会は,年3回以上,副委員長の招集により開催する。また,必要に応じてWEB等を活用して行うことができる。
(5)委員会の検討事項は次のとおりとする。
ア 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること。
イ 虐待の防止のための指針の整備に関すること。
ウ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること。
エ 虐待又は虐待が疑われる事案(以下「虐待等」という。)について,従業者が相談・報告できる体制整備に関すること。
オ 従業者が高齢者虐待を把握した場合に,市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること。
カ 虐待等が発生した場合,その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること。
キ 前号の再発の防止策を講じた際に,その効果についての評価に関すること。
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虐待防止のための職員研修に関する基本方針
(1)従業者に対する虐待防止のための研修は,虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに,本指針に基づき,虐待の防止の徹底する内容とする。
(2)研修は年3回以上実施する。また,新規採用時には別途虐待防止のための研修を実施する。
(3)研修の実施内容については,研修資料・実施概要・出席者等を記録し,保存する。
5 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
(1)虐待等が発生した場合は,速やかに市町村に報告するとともに,その要因の速やかな除去に努める。客観的な事実確認の結果,虐待者が従業者であった場合は,役職位等の如何を問わず,厳正に対処する。
(2)緊急性の高い事案の場合は,市町村及び警察等の協力を仰ぎ,被虐待者の権利と生命の保全を最優先する。
6 虐待等が発生した場合の相談・報告体制
(1)利用者,利用者家族,従業者等から虐待の通報を受けた場合は,本指針に従って対応する。
(2)利用者の居宅において虐待等が疑われる場合は,関係機関に報告し,速やかな解決につなげるよう努める。
(3)事業所内で虐待等が疑われる場合は,虐待防止担当者に報告し,速やかな解決につなげるよう努める。
(4)事業所内における高齢者虐待は,外部から把握しにくいことが特徴であることを認識し,従業員は日頃から虐待の早期発見に努めなければならない。
(5)事業所内において虐待が疑われる事案が発生した場合は,速やかに虐待防止検討委員会を開催し,事実関係を確認するとともに,必要に応じて関係機関に通報する。
(6)必要に応じて,事実を公表し,関係機関や地域住民等に説明を行う。
(7)虐待が発生した場合の対応については,「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について(厚生労働省老健局)」を参考に対応する。
7 成年後見制度の利用支援
利用者及びその家族に対して,利用可能な権利擁護事業等の情報を提供し,必要に応じて,社会福祉協議会,市町村の関係窓口を案内する等の支援を行うこととする。
8 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
(1)虐待等の苦情相談については,苦情受付担当者は受け付けた内容を管理者に報告する。
(2)苦情相談窓口で受け付けた内容は,個人情報の取扱いに留意し,相談者に不利益が生じないよう細心の注意を払って対処する。
(3)相談受付後の対応は,「6 虐待等が発生した場合の相談報告体制」によるものとする。
(4)対応の結果は相談者にも報告する。
9 利用者等に対する指針の閲覧
従業者,利用者及びその家族をはじめ,外部の者に対しても,本指針をいつでも閲覧できるよう,事務室に備え付ける。
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その他虐待防止の推進のために必要な事項
虐待防止のための内部研修のほか,外部研修にも積極的に参加し,利用者の権利擁護とサービスの質の向上を目指すよう努める。
附則この指針は,令和6年4月1日より施行する。
身体拘束等適正化のための指針
シンシアパーム株式会社
令和4年12月 制定
身体拘束やその他の行動制限(以下「身体拘束等」という。)は、利用者の自由を制限することであり、尊厳ある生活を阻むものである。
法人では、利用者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく、職員全員が身体的・精神的弊害を理解し、拘束禁止に向けた意識を持ち、利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、利用者の身体拘束等を原則禁止とする。
また、身体拘束等の廃止は、本人の尊厳を回復し、悪循環を止める、虐待防止において欠くことのできない取組である。
身体拘束等の具体的な内容としては、次のような行為が該当すると考えられる。
(介護保険指定基準において禁止の対象となる具体的な行為)
ア 徘徊しないように、車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る。
イ
転落しないように、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る。
ウ
自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
エ
点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢を紐等で縛る。
オ
点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
カ
車椅子や椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける。
キ
立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
ク
脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
ケ
他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を紐等で縛る。
コ
行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
サ
自分の意志で開くことのできない居室等に隔離する。
(注意)身体拘束に該当する行為とは、本人の身体の機能や行動を制限する目的で行われる各種の行為であると解されるため、身体に重度の障害のある人に対して、体幹を安定させることで活動性を高める目的で使用されるベルトやテーブルについては、一律に身体拘束と判断することは適切ではない。
身体拘束か否かは、目的に応じて適切に判断する必要がある。
(障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き:厚生労働省)
身体拘束等を行う必要を生じさせないため、日常的に以下のことに取り組む。
ア
利用者主体の行動・尊厳ある生活に努める。
イ
言葉や応答等で、利用者の精神的な自由を妨げないよう努める。
ウ
利用者の思いをくみ取り、利用者の意向に沿ったサービスを提供し、個々に応じた丁寧な対応をする。
エ
利用者の安全を確保するため、利用者の自由(身体的・精神的)を安易に妨げるような行動は行わない。
利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体を保護するための措置として緊急・やむを得ず身体拘束等を行う場合については、身体拘束等による心身の損害(影響)よりも、拘束しないリスクの方が高い場合で、次の3つの要件を全て満たす必要があり、その場合であっても、身体拘束等を行う判断は組織的かつ慎重に行い、本人又は家族の同意を得て行うこととする。
身体拘束等を行った場合は、その状況について経過記録の整備を行い、できるだけ早期に拘束を解除するよう努力するものとし、その経過を、「虐待防止及び身体拘束等適正化委員会」に報告することとする。
利用者本人又は他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高いことが要件。
身体拘束等を行うことにより本人の日常生活等に与える悪影響を勘案し、それでもなお身体拘束等を行うことが必要な程度まで利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が高いことを確認する必要がある。
イ 非代替性
身体拘束等を行う以外に代替する方法がないことが要件。
身体拘束等を行わずに支援する全ての方法の可能性を検討し、利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体を保護するという観点から、他に代替手法が存在しないことを複数職員で確認する必要あり。また、利用者本人の状態像等に応じて最も制限の少ない拘束の方法を選択する必要がある。
身体拘束等が一時的であること(長期にわたらないこと)が要件。
利用者本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束時間を想定する必要がある。
法人の施設ごとに、虐待防止及び身体拘束等の適正化を図るため、虐待防止責任者及び虐待防止担当者を配置する。
虐待の防止のための対策及び身体拘束等の適正化のための対策について、法人全体で情報共有し、今後の未然防止及び再発防止につなげ、法人全体で虐待防止及び身体拘束等の適正化に取り組むため、虐待防止及び身体拘束等適正化委員会を設置する。
委員会は、法人代表取締役、理事及び虐待防止等責任者又は虐待防止等担当者をもって構成し、委員長は、代表取締役をもって充て、副委員長は各部署の委員長をもって充てる。
イ
虐待の確認及び監視
ウ
虐待発生後の検証
エ
虐待の再発防止策の検討、実行及び実行後の検証
オ
身体拘束等について報告するための様式の整備
カ
身体拘束等の事例の集計・分析
キ
身体拘束等の適正化策の検討、実施及び実施後の検証
ク
ア~キの職員への周知徹底
ケ
虐待防止及び身体拘束等の適正化のための研修
コ
ア~ケ以外に、委員長が指示した事項
委員会は、委員長及び副委員長が必要と認める場合又は委員の求めに応じて開催し、少なくとも3か月に1回は開催する。
身体拘束等の適正化のための職員研修を原則年1回以上および職員採用時に実施する。
研修内容は、基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、本指針に基づき、権利擁護及び虐待防止を徹底する。
研修の実施内容については、研修資料、実施概要、出席者等を記録し、保存する。
4 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
身体拘束等を行わなければならない場合は、以下の手順に従って実施する。
身体拘束等の必要性が懸念される事態が発生した場合は、管理者及び主任、副主任へ報告し、身体拘束等の必要性の判断を仰ぐ。
身体拘束等が必要と判断された場合は、虐待防止及び身体拘束等適正化委員会の開催を、副委員長に依頼する。
突発的・緊急的に身体拘束等が必要になった場合には、管理者や虐待防止等担当者に報告の上、身体拘束等を実施し、実施後に、経緯を管理者や主任、副主任に報告するとともに、虐待防止及び身体拘束等適正化委員会の開催を、副委員長に依頼する。
委員会での審議用に、事業・施設は、(様式1)「緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書」の案を事前に副委員長に提出する。
委員会では、(様式1)を用いて「個別の状況による拘束の必要な理由」などから、身体拘束等の必要性を審議する。
身体拘束等の必要性が認められた場合は、引き続き「身体拘束の方法」・「拘束の時間帯及び時間」・「特記すべき心身の状況」・「拘束開始及び解除の予定」等を審議し、(様式1)の内容を確定させる。
身体拘束等の必要性が認められない場合は、委員会は、身体拘束等以外の方法を提案する。
委員会を開催した場合には、議事録を作成し、5年間保存し、要望があれば提示できるものとする。
委員会で内容を確定させた(様式1)を用いて、個別の状況による拘束の必要な理由・身体拘束の方法・拘束の時間帯及び時間・特記すべき心身の状況・拘束開始及び解除の予定等を、利用者本人及び家族等へ詳細に説明し、充分な理解を得て、(様式1)に記名・押印してもらう。
身体拘束等を実施するが、法令上、身体拘束等に関する記録は義務付けられているので、(様式2)「緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・再検討記録」を用いてその様子・心身の状況・やむを得なかった理由及び経過、解除に向けての取り組み方法などを記録する。
(様式2)の記録をもとに身体拘束等の早期解除に向けて、拘束の必要性や方法を、虐待防止及び身体拘束等適正化委員会で検討していく。
また、身体拘束等の同意期限を越え、なお拘束等を必要とする場合については、(様式2)の記録とともに、(様式1)を再度作成して、虐待防止及び身体拘束等適正化委員会で審議し、身体拘束等の必要性が認められれば、利用者本人及び家族等に、(様式1)の内容とともに、現在行っている身体拘束等の内容と今後の方向性、利用者の状態などを説明し、同意を得た上で実施する。
記録(様式1)(様式2)は5年間保存し、要望があれば提示できるものとする。
(5) の虐待防止及び身体拘束等適正化委員会での再検討の結果、身体拘束等を継続する必要性がなくなった場合は、速やかに身体拘束等を解除し、その旨を利用者本人及び家族等に報告する。
事業で発生した身体拘束等については、4の(2) で作成した様式1「緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書」及び4の(4) で作成した様式2「緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・再検討記録」を「虐待防止及び身体拘束等適正化委員会」
に報告し、身体拘束等解除に向けた取り組み改善の検討を早急に行い実施に努める。
法人の身体拘束等適正化のための指針は、利用者本人及び家族等が自由に閲覧できるよう、ホームページ等で公表する。
身体拘束等をしない人権を尊重したサービスを提供するためには、サービス提供に関わる職員のすべてが身体拘束等の禁止に対する共通認識を持ち、拘束をなくする取り組みをしなければならない。
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